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遺言について その2「自筆証書遺言」

手軽に作成できるが、デメリットも多い。
自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で書く遺言のことです。
よく二時間ドラマとか推理小説とかで出てくる遺言で、遺言といわれるとこちらを想像される方が多いかもしれません。

自筆証書遺言は作成するのに、特別な費用がかからないので作ろうと思えば、誰でも作れます。
しかし手軽に作成できる反面、遺言の書き方に不備があり、無効になる遺言や争いの種となる遺言も少なからずあると思われます。

また自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要となります。
そのためすぐに相続手続きに移行できない欠点があります。
相続が発生するとまず、相続人を確定させなければいけない。

自筆証書遺言のメリット デメリット

メリット
□ 証人の立会は不要

□ 作成費用は無料

□ 紙と筆記具、印鑑があれば作成可能

□ 遺言の存在と内容を秘密にできる

デメリット
□ 遺言を作成した事実を秘密にしていた為、死後発見されない可能性がある。
   自筆証書遺言は、作成したことを秘密にできるが故に、あまりにも凝った隠し方をすると死後誰にも発見して貰えない
  可能性があります。
   また保管を自分で行わなければならず、紛失危険性があります。
  事実、私の知り合いに、遺言を書くのは良いが何度も無くして、その度に書きなおしている人がいます。
  保管方法に不安がある人は、自筆証書遺言よりも公正証書遺言がオススメです。

□ 変造・破棄・隠匿の可能性もある。
   遺言によって、不利益を被る被相続人が一番最初に遺言を発見した場合、遺言を書き変えたり、隠したり、遺言を
  捨てたりする危険性も否定できません。
   専門家に預ける、信頼のできる知人に預かってもらうなどの対策をとっても良いかもしれません。

□ 遺言の解釈・効力について争われる可能性がある。
   自筆証書遺言は、法律のプロが作るわけではないので、遺言の書き方によっては内容を巡って争いになることも
  あります。
   実際に「財産を全部まかせる」や「自分に万が一の事があれば本件全てを実弟にお渡し下さい」といった記述を
  巡っての裁判があります。
   自筆証書遺言は、専門家の力を借りての作成をオススメします。

□ 家庭裁判所で、検認手続が必要な為、相続手続きに時間がかかる。
    検認では、基本、相続人全員が集まる必要があります。内尚、検認手続を無視すると五万円の過料に課せられます。

検認とは?

 検認手続とは、裁判所によって遺言書そのものを検証する手続きのことです。
 ただし、これは遺言が有効か、無効かを判断するものではありません。
 遺言の方式を調査し、遺言書の状態を確定させるための手続きです。

 検認手続は、2カ月程かかりますので、遺言の内容を実行に移すまでに時間が掛かります。

自筆証書遺言の作成について

 自筆証書遺言では次の四点必ず守らなければなりません

自筆
自筆とは文字通り自分で書くことを指します。
従って、パソコン、タイプライター、代筆は不可です。
また、ビデオでメッセージを録画したり、テープにメッセージを録音したのも遺言としては認められていません。
ただし、何故この遺言を遺したか等の想いを家族に理解してもらうのに、有効な手段の一つではあるでしょう。

遺言書の内容の一部を他人が書いた場合に、その遺言がどうなるか。
有効とした判例から無効とした判例までありますが、遺言書に司法書士が作成した不動産目録を添付しただけの遺言が無効とした判例もありますから、財産目録を添付する場合、財産目録も自筆する必要があります。
日付
日付も自筆で書く必要があります。これもパソコンで打ったり、日付印を押したりすることは認められていません。
日付は内容が矛盾する遺言が複数ある場合に、前後関係を明らかにして撤回を判断する、遺言者の遺言能力が備わっていたこと明らかにするために必要だからです。

日付の記載方法としては、年、月、日を明らかにして記載します。西暦、年号どちらを使っても構いません。
また日付が特定できれば良いので、「2012年、私の誕生日」や「私の喜寿を迎えた日」といった表現でも構いません。
ただ、「2012年、一月吉日」という記載は無効とされています。
自署
遺言書には、遺言者が、氏名を自署しなければなりません。
通常、遺言者の氏名は、戸籍に記載されたもの使用しますが、遺言者と同一であるとわかれば、ペンネームや通称などを使っても構いません。
押印
押印は原則、遺言者がしなければなりません。
認印や指印でもよいとされていますが、要らぬ争いを生まぬように実印を使用するのが望ましいです。

押印の場所は氏名後になされるのが通常ですが、封筒の封じ目に押された印でも良いとする判例や、封筒に記載された氏名の下に押印がある場合でも有効とした判例もあります。
 その他の注意点

□ 長期間保存することを想定する
   用紙、用具について法律で決められたことはありませんが、長い年月に耐えられるようにボールペンや万年筆で、
   それなりの紙に書くことを考えたほうが良いでしょう。

□ 複数枚にわたるときは契印を押す
   これも法律的には決まっていませんが、やっておくと望ましいです。

□ 明確な記述を心がける
   不動産にいては不動産登記簿通りの記載、預貯金については支店名、口座番号等可能な限り正確に記載するのが
   望ましいです。

□ 訂正の仕方に注意
   間違えて訂正したいときは、間違えた箇所に二重線を引き、訂正印と訂正した語を書き、この所○字訂正、
   署名と書きます。訂正方法が面倒な上に訂正方法を誤ると遺言が無効になるおそれもありますので
   間違えた場合は最初から書き直すつもりでいた方が良いでしょう。

自筆証書遺言のサンプル

                遺言書
   遺言者甲野乙雄は、次の通り遺言する。
   一 妻、甲野丙美に、次の不動産を相続させる。
     (1)土地
       豊田市○○町△△番地
        宅地    ○○○.△△u
     (2)建物
       豊田市○○町△△番地
       家屋番号 □□□番
       木造瓦葺2階建  居宅
        床面積 1階 ○○.△△u
              2階 □□.▲●u
  二 長男、甲野丁一に、次の財産を相続させる。
     ○○銀行○○支店 口座番号△△△△ の遺言者名義の預金債権
  三 上記以外の財産は、二男、甲野丁二に相続させる。
                               平成○○年△△月□□日
     豊田市○○町△△番地
                     遺言者 甲野乙雄 印
                 (昭和○○年△△月□□日生まれ)



上記が自筆証書遺言の記載例です。
冒頭でも述べましたが、自筆証書遺言は手軽にできて、作りやすい反面、内容が不明確だったり、記載内容に誤りがあったり、方式に不備があったりと面倒なことに繋がる危険性も高いのが特徴です。
折角書いた遺言状も無効になってしまってはやり切れません。
そこで当事務所では、   

遺言書に不備がないかを5250円から

でやらさせていただいております。但し全面改訂が必要な場合は別途料金がかかります。

また自筆遺言証書を作りたいが自分で書くには不安があるという方、

遺言書の原案作りを26250円から

でやらさせていただいております。但し極度に複雑な場合は別途料金がかかります。

また当事務所では、検認手続の必要がない、無効になるおそれが極めて少ない公正証書遺言もお勧めしていますので、よろしければこちらもどうぞ。

⇒公正証書遺言

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